top of page

NEWS

​お知らせ

【税理士コラム】衝撃!!13兆円の損害賠償!?

更新日:2022年8月31日

友人からの頼みを引き受けるか迷っている会社員の方からご質問をいただきました👍


質問:

会社員です。友人から「うちの取締役になってくれないか?」と頼まれています。


会社員を続けても給料は増えそうにないし、取締役という肩書にも憧れるので、引き受けようと思っていましたが、東京電力役員の損害賠償13兆円のニュースを見て、急に怖くなりました。


取締役の責任って、そんなに重いんでしょうか?


回答:

ご質問ありがとうございます。


僕も総額13兆3210億円の損害賠償判決には大変驚きました。まだ一審判決ですので、今後どうなるのかは分かりませんが、13兆円という金額は、日本国内の民事訴訟では最高額のようです。


ところで、そもそもなぜ東京電力の元役員はこのような裁判を起こされることになったのでしょうか?


今回の裁判は、株主代表訴訟といって、会社法に基づき、株主が会社に代わって取締役の責任を追及する訴訟です。


つまり、東京電力の元役員が「必要な津波対策を怠ったことで、東京電力に巨額の損害を与えたこと」に対して、株主が、東京電力の代わりに裁判を起こしたということになります。


判決が確定すると、賠償金は株主個人ではなく、東京電力に対して支払うことになります。


質問者さんの場合、友人の会社ということですので、おそらく株主は友人だと思います。

したがって、東京電力元役員のように「株主に訴えられる」ということは起こらないかもしれません。


しかし、だからと言って、安心することはできません。

そもそもの、従業員と取締役の違いをしっかりと理解しておきましょう


従業員と取締役では、契約形態が異なります。


まず、従業員と会社の契約は、一般的には労働契約(≒雇用契約)です。労働契約に基づく労働者としての立場は、労働基準法などにより強く守られています。


たとえば、会社側から一方的に労働契約を終了して解雇することは、とても難しくなっています。他にも雇用保険育児休業など、実は労働者は法律により強く守られた存在です。


一方、取締役と会社の契約は準委任契約です。

つまり、取締役は労働者ではないため、労働者として法律により保護されることはありません。主なものをあげると・・・

  • 解雇規制は適用されない(解任される)

  • 労働時間の制限がない

  • 雇用保険(失業手当や育児休業給付金など)がない

  • 育児休業中の社会保険料免除がない

  • ボーナスがない(多くの場合)

また、質問者さんとご友人の関係が、いつまでも円満に続くとも限りません。


仕事柄、友人同士で会社を始めた人達をたくさん見ていますが、喧嘩別れしているケースもかなりの割合で発生しています。


この場合、仕事だけではなく、私生活にも影響が及びますので、失うものはとても大きいです。

友人に頼まれて・・・は慎重に判断したほうが良いかもしれません。


ところで、冒頭の13兆円に話を戻しましょう。13兆円と言われてもピンと来ないので、ざっくり計算してみました。TVでよく見る100万円の札束は約1㎝です。したがって、


13兆円÷100万円=13百万㎝


つまり、130㎞です。山手線が1周29駅、40.4㎞なので、13兆円の札束をドミノのように並べると、山手線を3周しても、まだ余ります。


取締役の責任は、重いだけじゃなくて、とてつもなく長いようですね。




※当コラム・インスタグラムの内容はすべて投稿時点の法令に基づく一般的な内容に限定されます。

また、閲覧者が理解しやすいように簡潔・平易な記述をしているため、正確性を保証するものではありません。

※インスタグラムに記載の情報に基づき実務を行う場合、当事務所または税理士等の専門家にご相談ください。当事務所との契約に基づき実施した場合を除き、インスタグラム記載の情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切の責任を負いません。

bottom of page