個人事業主の方から、法人化についてのご質問をいただきました👍
質問:
個人事業でITコンサルタントをしています。30代(既婚男性)です。
年商が1,000万円を超えてきたので、そろそろ法人化を検討していたところ、ある税理士から「税や社会保険の負担を考えると、今の事業規模ではメリットがない」と言われました。
法人化は独立したときからの目標であり、なんだかモヤモヤします・・・
回答:
ご質問ありがとうございます。
メリットがないという税理士さんの意見は、おそらく間違ってはいないと思います。ただ、とても税理士らしい意見です。
今回は、あえてファイナンシャル・プランナーの視点から回答します。
個人事業主から法人に変わることで、何が変わるのでしょうか?税と社会保険に絞って簡単に整理します。
※1.単純化しています。厳密には、住民税、地方法人税、
事業税などが発生しています。
※2.役員報酬に対して課税されます。
※3.30代の質問者さんには発生しません。
さて、ここで僕が注目するのは2つ
1つ目は、厚生年金を負担として考えるだけでいいのか、ということ
2つ目は、質問者さんが既婚男性ということ
以上2点を合わせて考えると、違う景色が見えてきます。
年金の給付には3種類あることをご存じでしょうか?老齢給付、障害給付、遺族給付の3つです。
3つのうち、既婚者、特に既婚男性に注目して欲しいのは、遺族給付です。
国民年金(遺族基礎年金)と厚生年金(遺族厚生年金)では、遺族給付の金額だけでなく、支給対象者が異なるのです。
各制度の支給対象者は以下の通りです。
お分かりでしょうか?
遺族基礎年金だけでは、質問者さんにお子さんがいない場合、万が一のとき、残された奥さまへの保障がないのです。
法人化に際して社会保険を考えるとき、どうしてもコストだけに注目しがちです。しかし、コストだけを見ていると、社会保険本来の保障機能を見失い、本末転倒な議論になりかねません。
パートナーの生活を守るという視点、さらには従業員とそのパートナーの生活を守るという視点も、経営者にはとても大切です。
もちろん公的社会保障だけではなく、民間の生命保険も含め、トータルで考えましょう。
ところで、一般的にはあまり知られていませんが、なんと税理士事務所では、長年に渡って、社会保険加入義務が免除されていました。
税理士が社会保険の議論をするときコスト面に話が偏るのは、こうした背景もあるのかもしれません。
※法改正により、令和4年10月以降は、税理士を含む士業事務所に対しても従業員5人以上であれば、社会保険加入義務を適用されます。
※当コラム・インスタグラムの内容はすべて投稿時点の法令に基づく一般的な内容に限定されます。
また、閲覧者が理解しやすいように簡潔・平易な記述をしているため、正確性を保証するものではありません。
※インスタグラムに記載の情報に基づき実務を行う場合、当事務所または税理士等の専門家にご相談ください。当事務所との契約に基づき実施した場合を除き、インスタグラム記載の情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切の責任を負いません。
Kommentare