ここは、純喫茶『en 〜縁〜』。
税理士であり副業で喫茶店を運営するマスターのケイさんと将来税理士になりたい大学生のマユミさんが織りなす居心地のよい場所。やさしく、わかりやすく教えてくれるマスターのところには、相続で悩む常連さんからの相談が絶えません。
先日、生前贈与加算について学んだ安田さんが再度来店。これで三度目、熱心なお客様です!
今日は、相続時精算課税制度について聞きたいとのこと。
それではマスターと安田さんの会話をみていきましょう!
○本日のポイント
相続時精算課税制度にも非課税枠が創設される
各家庭における状況により、制度利用などの対策を検討していくことが大切!

マスター、先日の話の続きなんですけど相続時精算課税制度が使いやすくなったと言われているんですけど、うちにも有効なんでしょうか?

それではまず相続時精算課税制度について説明しますね。相続時精算課税制度とは、生前贈与を使う時に選ぶことができる制度のことで、2500万円までの生前贈与には贈与税が掛からず、超過した場合にも一律20%の課税で済むという制度です。

えっ、贈与税が掛からないなら使った方が得だと思いますけど…だって贈与税って最高税率が55%なんですよね。こっちの制度の方が得ではないですか?

安田さん、よく知っていますね。確かに贈与税だけを考えたらこの制度を使うメリットはあると思いますが、この制度には大きな落とし穴があるんです。

マスター、もったいぶらないで教えてくださいよ。安田さんも私も、相続時精算課税制度を使う方が良いって思いになっちゃってるんだから!

相続時精算課税制度は読んで字の如く、相続の時に精算して税金をかける制度なんです。

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二人の正直な反応が見られて面白いです。簡単に説明すると、この制度を使ってした生前贈与はいくらであっても相続税の課税対象に戻して計算するということです。

それならこの制度のある意味が分かりません…

同じく…ねー、安田さん!

この制度は、適切に利用することで効果が発揮されるものです。この制度を利用すると、生前贈与した時の評価額が相続時における評価額になります。例えるなら、この制度を利用して生前贈与した時の評価額が500万円であった場合、相続時に財産計上される金額も500万円となります。

そこに意味があるんですか?

例えば、贈与する財産が将来的に価値が上がりそうなもの、また高い収益率を得られる財産についてこの制度を利用すると効果があると言われています。

例えば、どんな財産があるの?

経営が順調な会社の株式や価値は低い(築年数が経過している)が収益率が高い賃貸物件などが考えられます。

うちにはそんな財産はないですね。普通に預金を相続させる場合には、この制度を使わない方がいいんですね。

これまでの制度の場合は、そうなんです。が、今回の税制改正によりこの制度を使う人が多くなると予想します。

それはなぜでしょうか?

相続時精算課税制度にも毎年の基礎控除が創設されるからです。暦年贈与と同じく、毎年110万円の贈与は非課税となるという制度が相続時精算課税制度を選んだ場合においても適用されるのです。しかも、相続時精算課税制度における基礎控除額は生前贈与の加算及び相続財産に含まれる財産から除外されるので、制度利用ができるケースに当てはまる場合においては、積極的に活用することで相続税対策が行える可能性があるのです。

えー、それは知らなかったです。それなら、一度利用するかどうかを考えてみる必要がありますね!

そうですね。やはり家庭ごとに事情や前提条件も異なるので、利用すべきか否かを考えることが必要ですね。

やはり、ウチの状況を踏まえながら対策を考えたいです!両親にも『相続税プレ申告サービス』を紹介して、対策を考えてもらえるように頼んでみますね!
○ おさらい
相続時精算課税制度にも非課税枠が創設される
各家庭における状況により、制度利用などの対策を検討していくことが大切!
本日のコラムは、いかがでしたか?皆様もハッとする部分があったかと思います。
中園一樹会計事務所では、相続に関する相談を受けております。お客さまごとに相続対策は異なりますので、まずは専門家である私たちに相談してみませんか?