ここは、純喫茶『en 〜縁〜』。
税理士であり副業で喫茶店を運営するマスターのケイさんと将来税理士になりたい大学生のマユミさんが織りなす居心地のよい場所。やさしく、わかりやすく教えてくれるマスターのところには、相続で悩む常連さんからの相談が絶えません。
本日は先日来店された安田さんが再度来店。
なんでも、発表された税制改正大綱を見て色々考えたそう。
マスターの元へ駆け込んできた安田さんとの会話をみていきましょう!
○本日のポイント
生前贈与加算の期間が3年から7年に伸びた
生前贈与加算の対象者を理解し、適切な対策を検討していきましょう!

マスター、生前贈与加算の期間が3年から7年に伸びるって聞きました。そもそも生前贈与加算って何ですか?

安田さん、よくニュースを見ていますね。では、生前贈与加算について説明していきます。生前贈与加算とは、亡くなる前3年にした生前贈与相当額は亡くなった時の財産に加えて相続税を再計算しなさいという制度です。

ということは、亡くなる前3年にした生前贈与は、父や母の相続税が減る対策にはならないという認識で良いのですか?

その通りです。そしてその期間が3年から7年に伸びると発表されたのが、今回の税制改正大綱なんです。

そうなんですね。贈与をしてから7年経たないと相続税対策にならないなんて、父と母の年齢を考えると難しいかもしれません。

安田さん、ちなみに生前贈与加算の対象外となる人はご存じですか?

えっ、生前贈与加算の対象にならない人っているんですか?

はい。生前贈与加算の対象にならない人は、生前贈与を受けていたが相続のタイミングでは財産をもらっていない人です。

??

マスター、安田さんも私もちんぷんかんぷんだよ!

では例えで説明します。安田さんはお父様から生前贈与をもらっていました。お父様が亡くなった時には、お父様の遺産を相続すると思います。この場合には生前贈与加算の対象となります。また、安田さんのお子様が安田さんのお父様から生前贈与をもらっていました。お父様が亡くなった時には、安田さんのお子様は財産を相続しませんでした。この場合には生前贈与加算の対象外となります。

じゃあ、相続人は生前贈与加算の対象となり、相続人でない人は生前贈与加算の対象外ということですか?

それは違います。相続人であるか否かは問いません。生前贈与をもらっていた人が、その贈与者が亡くなったタイミングでも財産をもらった場合には生前贈与加算の対象となるということです。

私の子供は、私の父から財産を相続することってできないですよね?だから相続人のみが生前贈与加算の対象で、相続人以外は生前贈与加算の対象にならないということで良いと思いますが…

安田さんのお父様が遺言を書いて、安田さんのお子様に財産を渡す可能性があります。また、安田さんのお父様が死亡保険に加入しており、受取人が安田さんのお子様であれば、相続人でなくても財産をもらうことが出来ます。なので、生前贈与加算の対象かどうかは、相続人であるか否かで判断するものではないのです。

そうなんですね。生前贈与をもらった人には相続のタイミングで財産を渡さないようにすれば、生前贈与加算の対象とならないということなんですね。

その通りです。例えば、安田さんがお父様から生前贈与を受けていたが、お父様が亡くなったタイミングで財産をもらわなければ生前贈与加算の対象ではなくなります。相続人であるか否かではなく、生前贈与をもらっていた人が相続のタイミングで財産をもらったか否かで判断することになります。

マスター、同じこと言ってる笑

それを聞いたら、生前贈与をすべき人などを検討していくことが対策になるような気がしてきましたがどうでしょうか?

そうです。そういったことも含めて、相続対策を考えることが必要になってきますね。

先日紹介してもらった『相続税プレ申告サービス』とともに、両親に紹介してみます!ちなみにマスター、相続時精算課税制度っていうものを使いやすくするっていうことも載っていたけどそれについても教えてください。

もちろんです!ただ、今日は次のお客さまがいらっしゃるので、この話は次回に…
○ おさらい
生前贈与加算の期間が3年から7年に伸びた
生前贈与加算の対象者を理解し、適切な対策を検討していきましょう!
本日のコラムは、いかがでしたか?皆様もハッとする部分があったかと思います。
中園一樹会計事務所では、相続に関する相談を受けております。お客さまごとに相続対策は異なりますので、まずは専門家である私たちに相談してみませんか?