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【相続コラム】「借金は相続税対策になる」のホントとウソ

ここは、純喫茶『en 〜縁〜』。


税理士であり副業で喫茶店を運営するマスターのケイさんと将来税理士になりたい大学生のマユミさんが織りなす居心地のよい場所。やさしく、わかりやすく教えてくれるマスターのところには、相続で悩む常連さんからの相談が絶えません。

本日は親から土地を相続した田中さんがご来店。価値の高い土地らしく、相続税対策として借金することを勧められているそう。

マスターのもとへ駆け込んだ結果はいかに…


それでは、そっと覗いてみましょう。


○本日のポイント

  • 借金=相続税が減るではないが、借金=相続対策になる可能性あり

  • 借金は負の財産。承継する人と相談しながら対策をする必要がある



マスター、借金すると相続税対策になるってホント?



田中さん、もう少し詳しく教えてください。


親から相続した土地があるんだけど、今は草ボーボーの空き地でアパートを建てないかって言われているんだよ。借金すると相続税が減るからと言われているんだ。


アパート建築ですね。アパート建築自体は相続税が減る可能性がありますが、借金=相続税が減るということではないですね。



どういうこと?


アパートを建てると二つの評価が減ります。一つは土地。何も利用していない土地や自ら使っている土地は、相続税の評価では減額がありません。

が、アパートなど他人に貸す目的の建物が建っている土地は、貸家建付地といって一定の評価減の対象になります。二つ目は、アパートの建築資金として支払った金銭とアパート自体の相続税評価額に差があるということです。

仮にアパートの建築資金として1億円支払ったとしましょう。この金額には純粋にアパートを建てるのに掛かった費用と建築会社の人件費や儲けなどが含まれています。建物の相続税評価額は、市区町村から送られてくる固定資産税の課税明細に記載されている評価額と同じです。仮に1億円のアパートを建てた場合の固定資産税評価額は7,000万円程度になると言われています。ただし、人に貸している場合にはさらに30%減額されます。よってこのケースだと7,000万円×30%=2,100万円が減額となります。支出は1億円、評価は4,900万円(固定資産税評価額7,000万円–2,100万円)になるというイメージです。


土地の評価が減ることと、アパート自体の評価が支払った金額よりも低くなるということなんだ。ん?借金の話は?



先ほど話した通り、借金は直接的な相続税が減る要因にはなりません。



なんで?マイナスの財産が増えるんだよ、相続税が減るって考えるのが普通じゃない?


借金をすると、マイナスの財産が増えますがお金を借りたのでプラスとなるお金も増えませんか?


あっ、そうだ!確かに、借金してそのお金をそのまま持っていたらマイナスとプラスでゼロになるね。


えっ、借金したお金をアパート建築資金として支払ったら相続税が減るんじゃないの、マスター?


その通りです。なので、借金=相続税が減るではなく、アパート建築=相続税対策になる可能性があるということです。



あー、少し混乱してきた…


仮に田中さんが100億円の預金を持っていたら、1億円のアパート建築資金は現金で払いませんか?つまり、借金自体が相続税対策になるのではなく、借金をしてモノに変えることで評価減少などで相続税対策になるということです。


借金しない方が良いってこと?


そうではなくて、必要なら使うということを考えればいいと思います。何せ、借金も相続する財産になるので承継予定者と話し合うことも必要です。



こう見ると、お金がある人は借金しない方がよさそうですね。


そうとも言い切れません。仮に田中さんが1億円の預金を持っていて、1億円のアパートを建てることになったら、借金をお勧めすると思います。



なんで?払えるなら、必要ないと思うけど…


預金で支払ってしまうと、預金という相続財産が減ってしまいます。預金は不動産などとは違い相続人同士で分けやすい財産なので、それを残すことが円滑な財産承継を実現することもあります。

払えるなら払えばいいというより、誰に何を承継させるかを考えながら借入をするかしないかを決めていけばいいんだ!


そういうことです。実際には借金は引き継いで返済していく人がいると言うことも忘れてはいけません。親から相続した借金が返せずに破産…ということにもなりかねません。



そうだよね…ちょっと妻や子供たちと一緒に考えてみるよ。ありがとう、マスター!




○ おさらい

  • 借金=相続税が減るではないが、借金=相続対策になる可能性あり

  • 借金は負の財産。承継する人と相談しながら対策をする必要がある


本日のコラムは、いかがでしたか?皆様もハッとする部分があったかと思います。


目の前の相続税が減ることと、将来何十年にもわたって借金を返済していくことを同時に考えていくことは難しいかもしれません。

ですが、考えた上での対策でなければ、「こんなはずじゃなかった」となることもあります。

一度、現在の状況把握をしてみてはいかがですか?


中園一樹会計事務所では、相続に関する相談を受けております。お客さまごとに相続対策は異なりますので、まずは専門家である私たちに相談してみませんか?