ここは、純喫茶『en 〜縁〜』。
税理士であり副業で喫茶店を運営するマスターのケイさんと将来税理士になりたい大学生のマユミさんが織りなす居心地のよい場所。やさしく、わかりやすく教えてくれるマスターのところには、相続で悩む常連さんからの相談が絶えません。本日のお客さまは、お隣さんの相続話を聞いて、急に不安になってきた壮年の男性…
それでは、そっと覗いてみましょう。
○本日のポイント
相続する権利のある人は誰か把握しておきましょう。
そこから基礎控除額が分かるので、相続税の申告が必要かどうかを判断する基準となります。

マスター、隣の家が相続で大変だって言ってるんだよね

何が大変なんでしょうか?

なんか相続税の申告をしなきゃって言ってるんだけど、みんなやらなきゃいけないのかな?

相続税の申告は亡くなった9人に1人の割合でするものです(※1)。
亡くなってから10ヶ月以内という期限もあるので大変なのでしょう。

隣の家は特別お金があるように見えないけど、それでも相続税の申告ってしなきゃダメなの?

相続税の申告が必要なのは、亡くなった人の財産が基礎控除額を超えた場合です。

基礎控除額って何?

基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数で表される式で、これを超えた場合には相続税の申告が必要なんです。

法定相続人の数って?

基本的には相続する権利のある人の人数と考えてください。例えば佐藤さんの場合には、妻と長男さんがいますよね?この場合には2人と考えます。これを計算式に当てはめると4,200万円が基礎控除額になり、それを超えると相続税の申告が必要となります。

ウチはそんなに財産がないから大丈夫かな?

さっき、お隣さんは特別財産があるように見えないと話していませんでしたか?相続税については、ウチは大丈夫と思っている人が多いんです。

なんで??

普段、意識していない財産も相続税の課税対象になるからです。

例えば??

例として二つ挙げます。一つ目は、住んでいる家も相続税の課税対象になるということです。佐藤さんが住んでいる場所は、市内では比較的地価が高い場所です。評価をしてみると思いもよらず高かったりします。二つ目は、これから増える財産があるということです。親から相続する財産であったり、会社からもらえる退職金であったり。改めて自分の今の財産と将来得られるかもしれない財産を把握してみると良いかもしれません。

お隣さんも苦労しているようだし準備してみようかな…でも何から始めれば良いの?

まずは家族関係を再確認してみてください。まぁ隠し子はいないと思いますが…

マスター、それ私も気になるんですけど!詳しく教えてください!

隠し子というより、子供を認知していればその子供も相続人になります。また、養子縁組や代襲相続(※2)、子供がいない場合などそれぞれの状況に見合った家族関係を把握することが大切です。

佐藤さん、大丈夫ですか〜笑

ウチは妻と長男だけだから大丈夫!それから何をすれば良いの?

自分の財産はどんなものがあるかを把握してみてください。

預金と家くらいかな?

まだまだ調べが甘いですね。そろそろ閉店時間になりますので、また次回、お話することにしましょう。

とりあえず、家族関係と財産になりそうなものを調べてみるよ!
次回へ続く…
※1 令和2年度に日本全国で死亡した人は1,372,755人(厚生労働省HP)で、その内相続税申告をした人は153,023人(国税庁HP)です。割合として11.15%程度となります。9人に1人の割合で相続税の申告書を提出していることになります。
※2 代襲相続とは、相続人のうち先に亡くなっている人がいた場合、その子などが代わりに相続権を得ること。代襲する場合とそうでない場合があるため要注意。
○ おさらい
相続する権利のある人は誰か把握しておきましょう。
そこから基礎控除額が分かるので、相続税の申告が必要かどうかを判断する基準となります。
本日のコラムは、いかがでしたか?皆様もハッとする部分があったかと思います。
中園一樹会計事務所では、相続に関する相談を受けております。お客さまごとに相続対策は異なりますので、まずは専門家である私たちに相談してみませんか?